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2021年8月14日土曜日

欧米や日本のような「リベラル能力資本主義」では「上級国民(エリート)」と「下級国民」に社会は分断される【橘玲の日々刻々】

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欧米や日本のような「リベラル能力資本主義」では「上級国民(エリート)」と「下級国民」に社会は分断される【橘玲の日々刻々】

4-4 minutes

 ブランコ・ミラノヴィッチは元世界銀行主任エコノミストで、世界の格差を検証し、グローバル化が中国やインドなどで膨大な中間層を生み出し、産業革命以降はじめて「北(欧米)」と「南(旧植民地国)」の格差が縮小したことを発見した。しかしその一方で、最貧国の貧困層と先進国の中間層は所得が伸びず、先進国の上位1%の富裕層の所得だけが大きく伸びており、それをグラフにすると象が鼻を高く上げているように見える「エレファントカーブ」を提唱したことで知られる。

【参考記事】
●欧州の排外主義に対する経済学的な処方箋は「移民への課税」と「二級市民化」だ

『資本主義だけが残った 世界を制するシステムの未来』(みすず書房)は、そのミラノヴィッチの最新作で、現代世界には「リベラル能力資本主義」と「政治的資本主義(権威主義的資本主義)」しかないという大胆な主張をしている。

 私は新刊『無理ゲー社会』(小学館新書)で、誰もが「自分らしく生きたい」と願うリベラルな社会では、人種や民族、性別、国籍、宗教、身分、性的志向などにかかわらずすべてのひとを公平に扱うメリトクラシー(知識社会化)が徹底され、この巨大な潮流に適応できる「上級国民(エリート)」と、適応に失敗して社会からも性愛からも排除されてしまう「下級国民」に社会は分断されると述べた。

 資産に大きなレバレッジをかけられる資本主義は「夢をかなえる」のに最適な経済制度で、だからこそひとびとを魅了し、またたくまに世界を席巻した。視点は異なるものの結論はミラノヴィッチと同じで、わたしたちには他の選択肢はないのだ。

 原題は“Capitalism, Alone; The Future of the System That Rules the World(資本主義だけ 世界を支配するシステムの未来)”。

リベラル能力主義社会では、経済的格差は二分化していく  Photo :builderB / PIXTA(ピクスタ)

現代の大富豪は「大きな金融資本」と「大きな人的資本」を両方もっている

 ミラノヴィッチは欧米や日本など先進諸国を「リベラル能力資本主義」と規定し、いくつかの点で「古典的資本主義」とは異なるという。ここでの古典的資本主義は「1914年(第一次世界大戦)以前のイギリス」に代表され、マルクスが描いたように資本家と労働者が分断されると同時に、ヨーロッパ諸国によって世界は植民地化されていた。

 これとは別に、「第二次世界大戦後のアメリカとヨーロッパ」の福祉国家化を「社会民主主義的資本主義」とするが、これは私の理解では「リベラル能力資本主義」の前段階だ。グローバル化とテクノロジーの発達、富の拡大によって福祉国家は維持不可能になり、必然的にリベラル能力資本主義へと「進化」していった。

 古典的資本主義とリベラル能力資本主義の大きなちがいは、資本所得と労働所得の分布だ。

 古典的資本主義では、資本家は働かずに資本(土地や植民地のプランテーション)から利益を得て、それを「顕示的消費」にあてていた。これが「有閑階級」で、彼ら/彼女たちにとって労働は「下賤な者」がやることだった。その一方で、労働者は日々の糧を得るために身を粉にして働き、資本をまったくもっていなかった(資本から疎外されていた)。

 ところがリベラル能力資本主義では、「資本豊富な人は金持ちだけでなく、労働所得から見ても相対的に裕福である」とミラノヴィッチはいう。そればかりか、上位1%(あるいは上位0.1%といったさらに選り抜きの集団)の労働所得の割合が伸びている。ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクを思い浮かべればわかるように、現代の大富豪は「大きな金融資本」と「大きな人的資本」を両方もっているのだ。

 その一方で、先進国では労働者も一定の資本(その多くはマイホーム)を所有しているし、老後に備えて、(主に国家を通じて)年金の原資を株式や債券などで積み立てている。マルクス的な「総労働と総資本の対立」という図式はもはやどこにもない。

 第一次世界大戦前と現代のもうひとつのちがいは「同類婚」の顕著な増加だ。前近代は身分によって結婚相手が決まっていたが、ここでの「同類」は学歴の同質性で、欧米だけでなく世界じゅうで高学歴(高所得者)同士、低学歴(低所得者)同士の結婚が増えている。これによって「所得と富の世代間継承」が増加し、「相対的移動性(生まれたときの社会・経済的地位が成長とともに変わること)」が低下する。

 資本は働いて得た収入を蓄積・運用したものだから、当然のことながら、労働所得の格差より資本の格差の方が大きくなる。そこでミラノヴィッチは、資本所得のジニ係数を1975年から2015年にわたってアメリカ、イギリス、ドイツ、ノルウェーで比較した。

 ジニ係数は経済格差の指標で、0が完全平等(すべての富が平等に分配される)、1(あるいは100)が完全不平等(1人の独裁者がすべての富を独占する)になる。

 「格差社会」といわれるアメリカとイギリスでは、1975年に資本所得のジニ係数はすでに0.9に達していた。驚くのは、より「平等」とされるドイツで0.85から0.9、ノルウェーで0.8から0.9のあいだで、1個人もしくは1世帯がすべての資本所得を独占する最大の不平等に近づいていることだ。それも、この格差は40年前からほぼ同じ水準で推移している。

 ここからわかるのは、先進国は1970年代からすでに「格差社会」だったことだ。近年、経済格差がさかんに議論されるようになったのは、グローバル化による「富の爆発」で資産10兆円を超える超大富豪が何人も現われ、その実態がようやく注目を集めるようになったからだろう。「資本所得が極度に集中し、もっぱら金持ちがそれを受領する」というのは「リベラル能力資本主義の構造的な特徴」なのだ。

 だがここで留意しなければならないのは、こうした事態を引き起こしたなんらかの「悪」が存在するわけではないことだ。ミラノヴィッチはこのように述べる。

 働いて金持ちになれるなら、それはそれでよいことではないか。労働と所有権の両方から高い所得を得るほうが、後者だけから高い所得を得るよりましではないか。それに同類婚はたしかに不平等を拡大させはするが、それはそれで好ましいことではないだろうか。女性が労働力にもっとおおいに参加し、賃金の支払いを伴う労働に価値を置く社会規範を反映し、自分によく似たパートナーを選ぶことを意味するのだから。一方で、現代の資本主義の特徴には不平等を強化する作用を持つものがあることと、その反面、そうした特徴をじつは大半の人が社会的に好ましいと思っているかもしれない(それが不平等に及ぼす作用は脇に置いて)というかなりアンビバレントな状況を心に留めておく必要がある。

 「国が裕福になればなるほど、「自然と」もっと不平等になる傾向」をミラノヴィッチは「富の呪い」と呼ぶが、わたしたちは自ら望んで「呪い」にかけられているのだ。

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ハイチでM7.2の地震 複数の死者か 公式発表なし(朝日新聞デジタル)

 news.yahoo.co.jp

ハイチでM7.2の地震 複数の死者か 公式発表なし(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

1-1 minutes

朝日新聞デジタル

 米地質調査所(USGS)によると、カリブの島国ハイチ西部で14日午前8時半(日本時間午後9時半)ごろ、マグニチュード(M)7・2の地震があった。震源は西部セントルイスドゥスドゥの北東12キロ付近で、震源の深さは約10キロ。AFP通信によると、当局は複数の死者を確認したとしている。  ロイター通信によると、揺れは首都ポルトープランスでも感じられ、建物の倒壊を恐れた住民が街路に飛び出したという。ハイチ政府などから、死傷者や被害についての公式の発表はされていない。SNS上では、崩れた家やがれきなど、地震の被害とされる動画を独立系メディアなどが投稿している。  ハイチは人口の60%が貧困層とされる。今年7月には現職大統領が自宅で暗殺されるなど、政情不安が続いており、新型コロナウイルスのワクチン接種も進んでいない。2010年のハイチ地震では約32万人が死亡した。(サンパウロ=岡田玄)

朝日新聞社

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タリバン、首都カブールまで11キロに迫る…米大使館は退避へ機密書類など廃棄を通達 : 国際 : ニュース

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タリバン、首都カブールまで11キロに迫る…米大使館は退避へ機密書類など廃棄を通達 : 国際 : ニュース

広角多角
1-1 minutes

13日、アフガニスタン第2の都市カンダハルで、政府軍の車両を乗り回すタリバン戦闘員(AFP時事)
13日、アフガニスタン第2の都市カンダハルで、政府軍の車両を乗り回すタリバン戦闘員(AFP時事)

 【テヘラン=水野翔太、ワシントン=横堀裕也】AP通信によると、アフガニスタンの旧支配勢力タリバンは14日、首都カブール南方にあるロガール州の州都プリアラムを制圧した。タリバンはさらに北上し、カブールまで約11キロの地区へ戦線を前進させた。

 タリバンは14日、パクティカ州シャラン、クナール州アサダバード、パクティア州ガルデズの東部3州都も占拠したと発表した。タリバン支配下の州都は全34州中21となった。

 アフガンのアシュラフ・ガニ大統領は14日にテレビ演説し、「治安部隊の再統合が最も重要だ」と述べ、政府軍を立て直して戦闘を続ける考えを示した。

 米国防総省のジョン・カービー報道官は13日の記者会見で、タリバンの行動について、「国境に通じるルートや主要な幹線道路を押さえ、カブールの孤立化を狙っている」と分析し、カブールでも兵糧攻めを狙っているとの見方を示唆した。

 米政府は12日、米大使館員らの退避を支援するため、米軍約3000人をカブールに派遣すると発表した。カービー氏は、カブールが「現状で差し迫った危機に直面しているわけではない」としつつ、「我々は状況を深刻に受け止めている。だから増派を判断したのだ」と語った。ロイター通信は14日、増援部隊の一部がカブールに到着したと伝えた。

 米政治専門紙ポリティコは13日、国防総省が、カブールにある米大使館の全職員を退避させる計画を策定し始めたと報じた。事実であれば、カブールの陥落も想定した動きと言えそうだ。

 ポリティコによると、米大使館の幹部は13日、機密性の高い書類などを破棄するよう職員に通達した。大使館にある米国旗も、「(奪われた場合に)プロパガンダに使われる恐れがある」として廃棄対象に指定されたという。

2021年8月12日木曜日

アジア経済に警戒シグナル点灯、デルタ株による打撃示す指標続出

 www.bloomberg.co.jp

アジア経済に警戒シグナル点灯、デルタ株による打撃示す指標続出

Enda Curran、Jinshan Hong
4-5 minutes

  • ゴールドマンは中国の成長率予想引き下げ-デルタ株の影響懸念

  • エコノミストはモビリティーやワクチン接種率などのデータに注目

新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染急拡大で消費者の外出自粛や旅客機の運航停止が続く中、アジア経済に打撃が及んでいる兆しはすでに表れている。

  人の移動状況を示すグーグルのモビリティーデータからは、政府の制限措置が移動に与える影響について初期の警戒シグナルが読み取れる。中国の航空会社が提供する座席数は旅行の低迷を示しており、東南アジアの製造業活動は縮小。オーストラリアの企業景況感は落ち込んでいる。

  ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストはアジアにおけるデルタ株の悪影響に警鐘を鳴らし、JPモルガン・チェースなどと共に、中国の成長見通しを引き下げた。HSBCホールディングスはアジアの電子機器のサイクルが既にピークに達しているとの見方を示し、テクノロジー輸出が冷え込みつつある可能性を示唆した。

Covid Testing and Restrictions in Beijing

北京首都国際空港(5日)

  最近の動向を見極める上で、エコノミストが注目しているアジアの指標は以下の通り。

グーグルのモビリティーデータ

  社会的流動性の制限は消費者への影響が最も大きく、特にサービス関連支出を損ねそうだ。豪州の2大都市はロックダウン(都市封鎖)下にあり、中国は夏休みの真っただ中で規制を導入。エコノミストは、小売りや業務への影響を読み取るためグーグルのデータに注目している。

Slow Down

Work and retail activity in major Asia-Pacific economies versus pre-Covid

Source: Google's Community Mobility Reports

ワクチン接種率

  域内のワクチン接種率はばらつきが大きく、一部の人々は感染リスクにさらされたままだ。米ジョンズ・ホプキンズ大学がまとめたデータに基づくブルームバーグの試算によると、東南アジアのコロナ関連死亡率は今月に入り中南米を超え、世界最悪となった。アジアのワクチン接種進展ペースは世界でも目立って遅く、接種率は人口の14%にとどまる。これを下回るのは北アフリカとサハラ以南のアフリカだけだ。

  ワクチン接種率で域内をリードしてるのはシンガポールと中国で、いずれも人口の60%強が必要量を投与済みだ。

Virus Metrics

Covid cases, deaths and vaccination rates for Asia-Pacific economies

Source: Johns Hopkins University, Bloomberg analysis, as of Aug. 9

中国の旅客輸送能力

  中国の航空会社が提供する座席数は1週間で32%減り、コロナ禍初期以来の大幅減となった。新たな移動制限の影響がうかがえる。航空情報会社OAGのデータが示した。中国の落ち込みに加え、欧州や北米でも旅行の回復が滞っており、世界では週間ベースで6.5%減少した。

Epic Plunge

Capacity in China sinks amid efforts to control virus outbreak

Source: OAG

電子機器輸出

  世界貿易を占う指標として、韓国の輸出に勝るものはほとんどない。世界的なテクノロジーブームを追い風に、コロナ禍が始まってから半導体や充電式電池といった韓国の輸出は急増した。半導体の需要はなお旺盛だが、HSBCのエコノミストは「電子機器のピーク」は過ぎた可能性があるとみている。

Rising Exports

South Korea's government expects record-high exports in 2021

Source: Finance Ministry, Bloomberg

製造業PMI

  コロナ危機が始まって以来、在宅勤務向けテクノロジーや医療機器などへの世界的な需要の高まりで、アジアの輸出は活況を呈している。ただ、北アジアの製造業は好調を維持する一方、東南アジアでは活動が縮小。インドネシアのIHSマークイット製造業購買担当者指数(PMI)は7月に40.1と、前月の53.5から急低下し、1年1カ月ぶりの低水準となった。

Southern Slowdown

Manufacturing hit as delta spreads across Southeast Asia

インフレ率

  インフレは今のところアジアの回復に対する深刻な脅威にはなっていないが、早期の警戒シグナルは表れている。商品高を背景に、中国の生産者物価指数(PPI)は7月に前年同月比9%上昇。今後数カ月で伸びは落ち着くとみられているが、中国の生産者物価上昇がアジア圏や世界に波及する可能性が懸念される。

Heating Up

China's producer prices surge while consumer inflation remains modest

Source: National Bureau of Statistics of China

今後の焦点

  ブルームバーグ・エコノミクスのシニアグローバルエコノミスト、ビョルン・ファンロイエ氏はリポートで、「既存のデータに基づく前向きな見通しにもかかわらず、不確実性は依然として高く、ダウンサイドのリスクがある」と指摘。「デルタ株の広がりは既に中国の成長見通し引き下げにつながっており、他の国でも同じことが起きる可能性がある」と予想した。

原題:Real-Time Data Suggest Asia’s Economy Already Feeling Delta Hit(抜粋)

>タリバン10州都制圧 首都に迫る|BIGLOBEニュース

 news.biglobe.ne.jp

>タリバン10州都制圧 首都に迫る|BIGLOBEニュース

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【カブール、ワシントン共同】アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは12日、東部ガズニ州の州都ガズニ... 

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街が一変 トルコで大規模洪水 - Yahoo!ニュース

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トピックス(国際)

ミャンマー代表選手を難民認定

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ミャンマー代表選手を難民認定 - Yahoo!ニュース

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2021年8月11日水曜日

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アフガン首都、90日以内陥落の恐れ タリバン攻勢で想定変更―米報道:時事ドットコム

1-1 minutes

11日、カブールで仮設のテントに座り込む、アフガン各地の戦闘から逃れてきた避難民たち(AFP時事)

11日、カブールで仮設のテントに座り込む、アフガン各地の戦闘から逃れてきた避難民たち(AFP時事)

 【ワシントン時事】ワシントン・ポストなど複数の米メディアは11日、アフガニスタンの反政府勢力タリバンが90日以内に首都カブールを制圧する可能性があると米当局はみていると報じた。タリバンが州都を次々と制圧する中、首都陥落の時期を従来の想定から前倒しした。

「タリバン復活」募る恐怖 アフガン国内、避難民36万人―戦争犯罪の恐れも

 同紙によると、米当局は6月下旬の時点で、カブールについて「8月末が期限の駐留米軍撤収から6カ月以内に陥落する可能性がある」と予想していた。当局者の一人は同紙に「すべてが悪い方向に進んでいる」と述べ、従来の見通しが甘かったと悔いる認識を示した。
 ただ、FOXニュースは別の当局者の話として、米国が支援する30万人規模のアフガン政府軍は大半が首都周辺に集結していると報道。「来月にもカブールが包囲されることはあり得るが、数カ月間は持ちこたえる」とやや楽観的な見方を伝えている。
 サキ大統領報道官は11日の記者会見で、アフガン情勢の悪化を注視しているものの「(首都陥落という)特定の結果が不可避だという見方はしていない」と強調。アフガン政府軍が「装備と兵力を持ち、訓練も受けている」と述べ、反転攻勢に出るのは可能だと主張した。 

タリバン、9州都制圧(写真=AP)

 www.nikkei.com

タリバン、9州都制圧(写真=AP)

Nikkei Inc.
1-1 minutes

タリバンはアフガニスタンのファラー州などを制圧した=AP

【イスラマバード、ワシントン=共同】アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは10日、西部ファラー州の州都ファラーと北部バグラン州の州都プリフムリを制圧したと宣言した。各州の関係者も認めた。11日には北東部バダフシャン州の州都ファイザバードも制圧宣言、制圧宣言は6日連続で、計9州都が陥落した。8月末までの駐留米軍の撤退完了を前に、士気の低い政府軍兵士が逃げ出すなど、戦況は悪化の一途をたどっている。

バイデン米大統領は10日、ホワイトハウスで記者団に、駐留米軍の撤退について「後悔していない」と見直しを否定した上で、アフガン政府軍に向け「自国のため戦わなくてはならない」と鼓舞した。米国は航空支援やアフガン空軍の機能や運用性の確保、食糧や装備品の供給など「関与は続ける」と説明した。

州都が陥落したのは、全34州のうち北部や西部などの計9州。北部バグラン州のプリフムリは首都カブールと北部最大の要衝マザリシャリフを結ぶ幹線道路の中継地。州関係者によると、治安部隊が郊外の国軍基地に撤退したため主要施設が奪われた。ファラーでは知事公舎や刑務所などがタリバンに占拠された。

一方、アフガン和平に関する会議が10日、中東カタールで開かれ、米国やロシア、中国、パキスタンの代表のほか、アフガン政府のアブドラ国家和解高等評議会議長らが出席した。

アブドラ氏は「タリバンは停戦協議を加速するとの約束を破り、前例のない人道危機が起きている」と演説し、国際社会の支援を呼び掛けた。政府とタリバンは7月に協議加速で合意したとする共同声明を出したが、進展していない。

タリバンは6日、南西部ザランジの制圧を手始めに、7日にシェベルガン、8日にクンドゥズ、サリプル、タロカーン、9日にアイバクと立て続けに北部の各州都を奪い、支配地域を拡大した。

2021年8月10日火曜日

効率的なミサイル迎撃用のAIを開発する研究者が「トンボの脳」をコピーする意味とは?

 

効率的なミサイル迎撃用のAIを開発する研究者が「トンボの脳」をコピーする意味とは?


AIと聞くと「人間の脳を模倣したもの、あるいは人間の脳を上回る性能を持つもの」という印象を持つ人も多いかもしれません。しかし、軍事科学や安全保障の研究を行うアメリカのサンディア国立研究所に勤めるフランシス・チャンス博士は、人間の脳ではなく「トンボの脳」をモデルにしたAIの開発を行っているとのことです。

Fast, Efficient Neural Networks Copy Dragonfly Brains - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/fast-efficient-neural-networks-copy-dragonfly-brains

人間の脳には全体で860億個もの神経細胞(ニューロン)があるといわれており、高度な認知能力を必要とするさまざまなタスクを実現しています。一方、昆虫が持つニューロンはせいぜい数十万~100万個程度ですが、それでも特定のタスクにおいては非常に優れた能力を発揮するとのこと。

国家安全保障に関する研究を行っているチャンス博士は、同僚と共に「トンボの脳」を参考にしたミサイル迎撃システムの設計を目指しています。「将来のコンピューターシステムの先駆者としてトンボに目を向けることは、直感に反するかもしれません」とチャンス博士は述べ、確かにAIは人間の活動を模倣するか、人間を上回るものであるイメージが強いと指摘。しかし、洗練されたAIを開発するには高性能なコンピューターの膨大な処理能力が必要であり、訓練に必要なエネルギーコストも大きくなります。

チャンス博士は、「しかし、人工ニューラルネットワークが役立つためには、本当に大きくて複雑である必要がありますか?そうではないと思います。短期的にニューロンに触発されたコンピューターのメリットを享受するなら、シンプルさと洗練のバランスを取る必要があります」と述べています。つまり、特定の機能に特化するAIは必ずしも全ての分野で人間に匹敵する能力を持つ必要がないため、シンプルなニューラルネットワークで効率的に目標を達成できる昆虫のようなAIが求められているというわけです。


トンボは空を飛びながら獲物を追いかけて捕らえる能力に優れており、追跡を始めた獲物は95%の成功率で捕食し、1日に数百匹の獲物を食べるとのこと。以前からトンボの飛行能力に目を向ける研究者は多く、アメリカの機関もトンボを参考にしたドローンの開発などを行ってきましたが、チャンス博士はトンボが獲物を追いかけて捕らえる「脳」に着目しています。

獲物を追いかける際のトンボは相手の動きに応じて自分の体を動かしており、相手の動きにトンボが反応する速度はわずか50ミリ秒だそうです。目が視覚情報を処理してから筋肉を動かす時間を考慮すると、トンボの脳はわずか3~4層のニューロンで獲物と自分の位置情報を把握し、適切な追跡経路を割り出して動いているとチャンス博士は述べています。

トンボが獲物を追いかけるシステムをニューラルネットワークで再現できれば、ミサイルの重量や消費電力に影響を与えることなく、適切な軌道を計算できる迎撃ミサイルシステムなどに応用できます。民間の用途としては、自動運転車や自律型ドローンの衝突を避けるためのソフトウェアや、邪魔な虫を追跡して撃退する小型ドローンなども想定可能です。


チャンス博士はトンボの脳を模倣するため、神経系の代替となる3層のニューラルネットワークを構築しました。トンボは獲物を捕まえるために目で対象を把握しなければならないため、まずチャンス博士はトンボの目の簡略版をシミュレートしたとのこと。トンボは獲物を捕まえるために立体的な奥行きを必要としないため、ニューラルネットワークの1層目には目からの入力を表す21×21の計441個のニューロンを配置。この層にはもう1つ441個のニューロンが配置されており、獲物が視野内のどこにあるかを把握するそうです。

ニューラルネットワークの2層目には19万4481個のニューロンがあり、1層目から受け取った獲物の位置に関する情報を基に、「自分の体をどこへ動かすべきか」を決める処理を行います。この際、トンボは単純に獲物の後を追いかけるのではなく、「自分の進行方向に対して視野内に映る獲物の姿を固定する」ことで、獲物を捕まえる適切な位置を把握しているとのこと。

ニューラルネットワークの3層目では、処理した情報に基づいて体を動かすための指令を出しています。獲物を捕まえる際のトンボの動きは以下の通り。トンボ(黒色)は獲物(赤色)に狙いを定めると……


進路を変え、獲物と一定の角度を保ったまま進みます。


視野内における獲物の位置が一定のままであれば、将来の進路上で獲物と衝突し、捕獲できるというわけです。実際にチャンス博士がこのニューラルネットワークをテストしてみたところ、非常に単純なモデルであるにもかかわらず、3次元空間を途中で曲がったりランダムに動いたりする獲物をうまく捕らえることができたとのこと。


なお、チャンス博士が開発したモデルは仮説に基づくものであり、実際のトンボの脳と同じものかどうかを確かめるには、飛行中のトンボの神経系における電気信号を測定する必要があります。すでに、一部の研究者はトンボに取りつけられる小さな測定装置を開発しており、将来的には神経科学者らがトンボの脳とモデルの比較が可能になるだろうと考えられています。


また、トンボを参考にすることで、より効率的なAIを作ることが可能になるかもしれないとチャンス博士は指摘。たとえば、トンボは視野内に複数の獲物候補が存在する場合であっても、特定の獲物だけを集中的に追跡できるとのことで、AIに余分な情報を除外して特定のタスクにだけ集中する仕組みを導入することで、よりシンプルかつ効率的なシステムを構築できるかもしれません。

さらに、トンボは人間の数倍ものフレームレートを誇っていますが、空間分解能は人間の100分の1に過ぎないとのこと。つまり、「3次元空間を移動する獲物を捕らえる」というタスクにおいては、空間分解能はそこまで必要ではない可能性があります。こうした特徴を参考にすることで、より効率的なAIシステムを作成できる可能性があるとチャンス博士は主張しています。

チャンス博士は、初期のAIは人間の脳からインスピレーションを得て開発されたものの、今日のAIは明らかに人間の脳とは違う計算に依存している場合も多いと指摘。昆虫は一見すると単純な動物であるように見えますが、実際には高度に専門化されたタスク遂行能力を持っており、次世代コンピューターの開発に大きく貢献していると述べました。

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