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2021年8月30日月曜日

米軍、アフガン撤収完了 米最長の20年戦争が終結(写真=AP)

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米軍、アフガン撤収完了 米最長の20年戦争が終結(写真=AP)

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池内恵さん他8名の投稿池内恵中満泉中林美恵子

30日、カブールの空港で、米空軍輸送機に乗り込む兵士ら(AFP時事)

【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は30日の声明で「20年間にわたる米軍のアフガニスタン駐留が終了した」と明らかにした。掃討をめざしたイスラム主義組織タリバンが復権し、米史上最長の戦争は敗走に近い形で幕を閉じた。国際テロ組織がアフガンを拠点に米国本土を再び攻撃するリスクは消えていない。

バイデン氏は声明で、アフガンの首都カブールの空港で米国人やアフガン人の国外退避を支援した米兵に対し「米史上最大の空輸任務を実行した」と謝意を示した。米東部時間31日午後1時30分(日本時間9月1日午前2時30分)にアフガン戦争の終結について国民向け演説を行う。

米軍がアフガンの国外に退避させたり退避を支援したりした米国人やアフガン人などの数は12万3000人に上る。ブリンケン国務長官は30日の演説で「米国の軍事面での戦いは終わった。米国のアフガンに対する新しい関与のチャプターが始まる」と強調した。米国の在アフガン大使館を閉鎖し、カタールの首都ドーハでタリバンとの対話を進めていく。

アフガンでは100~200人の米国人が出国できずに残っていると明らかにした。アフガン戦争で米国に協力したアフガン人について「期限を設けずに彼らとの約束を守る」と断言。退避を望む米国人と並んで退避支援を続けるとした。

タリバンに対して自由かつ安全な移動に関する合意を履行するよう改めて求めた。タリバンが求める経済支援などを念頭に「我々の対応は言葉ではなく行動に基づいて決まる」と指摘し、米国との協力を促した。

一方、タリバン報道官は米軍撤収について「私たちの国は完全な独立を手に入れた」とツイッターに投稿した。タリバンがカブールを制圧して以降、「恐怖政治」が復活するリスクが浮上している。

バイデン氏は4月、約2500人のアフガン駐留部隊を撤収させると表明した。部隊を5800人規模に増やし、米国人に加えてアフガン戦争で米国に協力したアフガン人の国外退避を8月末まで進めると説明してきた。欧州や日本も自国民らを退避させた。

泥沼の戦争を批判的にみる世論に配慮し、バイデン氏はアフガン撤収を貫いた。2001年の開戦直後はテロとの戦いを米国民の大半が支持したが、巨額の戦費や米兵の犠牲を伴う戦争に一般国民は恩恵を感じず熱気は冷めていった。バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権は16年末までの撤収を目指したが、治安悪化を受けて断念していた。

タリバン復権でアフガン民主化の取り組みは失敗に終わった。アフガン戦争を通じて根付きつつあった女性の権利や報道の自由が後退する可能性が高まっている。バイデン氏は軍事力を通じて「国家建設に関与しない」と繰り返し主張しているが、民主主義や人権を重視する外交方針に逆行する。

国際テロ組織の監視が難しくなる公算も大きい。オースティン米国防長官は6月中旬の議会公聴会で、国際テロ組織アルカイダなどが2年以内に米本土への脅威になる恐れがあると証言した。米軍はタリバン復権でこの時期が前倒しになると警戒する。8月下旬には過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力が米軍を標的に自爆テロを実行。過激派が勢いづいて、米欧でテロを起こすリスクがくすぶっている。

アフガン戦争は01年9月の米同時テロをきっかけに始まった。アフガンを拠点とするアルカイダがハイジャックした民間機をニューヨークの世界貿易センタービルに衝突させた様子は世界に大きな衝撃を与えた。

当時のタリバン政権はテロの首謀者であるアルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者の引き渡しを拒否。ブッシュ政権(第43代)はテロとの戦いを宣言した。北大西洋条約機構(NATO)は北大西洋条約第5条が定める集団的自衛権を史上初めて行使し、米国を支持した。

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    池内恵東京大学先端科学技術研究センター 教授

    ひとこと解説

    リベラリズムと民主主義を、米国の富と文化の誘惑と、究極的には米軍の人事力による強制力によって、世界に広めるプロジェクトの壮大な挫折として、アフガニスタン介入は記憶されるでしょう。国の上澄みの何%かを欧米流に染め上げることはできても、草の根のターリバーンはほとんど不変のまま戻ってきた。カタールに亡命していた政治部門・対外交渉部門が今表に出ていますので、それなりに話が通じるように見えますが、「国内派」「武装闘争派」が今後実際の国内統治を行った時にははるかに厳しい現実が見えてくるでしょう。

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  • 中満泉のアバター

    中満泉国際連合 事務次長・軍縮担当上級代表

    別の視点

    様々な視点から議論されるアフガニスタン問題。私自身数年深く関わった国であり、色々な意味でまだ衝撃の中にいる。対テロ、邦人・協力者保護も大事だが、国内ではコロナ危機の中保健医療システムが崩壊の淵にあり、旱魃で農村が疲弊し食糧事情への懸念も大きい。都市では物価高騰の中預金引き出しができずに混乱が広がる。女性教員数が足りず、女児教育は事実上ストップするだろう。アメリカの「20年戦争」後のアフガニスタンをどう安定させるのかを考えるべきだ。WHOは今日、パキスタンから輸送機の提供を受けて医療支援を届けた。国連は留まり支援を続ける。困難だが、アフガニスタンの人々にも国際社会の安定のためにも、必要なことだ。

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  • 中林美恵子のアバター

    貴重な体験談

    アメリカが世界の警察官から実際に降りた瞬間といえるだろう。ウサマ・ビンラディン容疑者殺害から約10年。撤収は先送りされ続けてきた。9.11当日、私は上院予算委員会で公聴会の準備中だった。あの瞬間に財政問題は吹っ飛び、国土安全保障省設立作業が始まり、対テロといえば予算は天井知らずになった。各人のデスクには星条旗の小旗、数ある窓ガラスには大きな星条旗。政府主催の犠牲者メモリアルサービスではオフィスの皆がTV前に集合し涙した。その年、中国は好条件でWTOに加盟。米議会ではそれを審議する余裕さえなかった。アフガンの苦い経験が、今後の民主主義と強権主義の闘いにどう活かされるのか。民意の影響も大きい。

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    青山瑠妙早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授

    ひとこと解説

    アフガンの20年戦争は終わった。しかしバイデン大統領の撤収政策に批判が集まり、戦争はアフガンの国家建設のためのものではなかったという発言も物議を醸し、政権にとって大きな痛手となった。今後、アフガンでISISなどの活動が活発化するのは必至で、中東、中央アジア、東南アジア、南アジアの情勢にも影響を与えるだろう。海外で経済活動を展開している日系企業もその動きを注視していく必要がある。

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    菅野幹雄日本経済新聞社 ワシントン支局長・本社コメンテーター

    ひとこと解説

    当地の午後4時半すぎにマッケンジー中央軍司令官が記者会見で撤収完了を発表した瞬間が「20年戦争」の終結を告げる歴史的な節目となりました。ブリンケン米国務長官は直後の声明で米軍の戦いに終止符を打つと同時に「新たな外交面のミッション」が始まったと強調しました。「終戦」とはいえ、米国の民間人の一部はなおアフガンに残されています。タリバンも相手とした「新たな外交」が本当に機能するのかも不明です。バイデン米大統領が誇らしげに発表するような展開とは程遠い、混乱の結末といえます。

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  • 慎泰俊のアバター

    慎泰俊五常・アンド・カンパニー株式会社 代表取締役

    分析・考察

    アフガニスタンで直前まで活動していた軍人いわく、すでに現地はこの20年とは全く違う国に変わってきたようです。 例えば、こんな出来事が起きているとのことです:タリバンがアフガニスタン人が乗っていた車を止め、全員の荷物をチェック。押収したAさんの携帯電話にアメリカ人の番号が入っていた。その番号にタリバンが電話し、相手が電話に出たため、Aさんはその場で射殺。

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  • 岩間陽子のアバター

    岩間陽子政策研究大学院大学 政策研究科 教授

    今後の展望

    批判は集まっていますが、更なるテロの再発は回避した形で、なんとか作戦を終了させました。ただ、新しいアフガニスタン政策作成が、ここから始まらねばなりません。国際社会にとって最悪のシナリオは、内戦の激化とその結果として大量の難民流出。相対的にましなシナリオは、国内が落ち着き、人道支援が治安が確保された状況で入ることができ、出入国が制御されて安全な形で確保され、アフガニスタンが国際社会からの働きかけにオープンである状態だと思います。その状況を確保するために、国際社会は、日本は何ができるか考えねばなりません。全く関与をやめて、隔絶された状態のアフガニスタンにはするべきではありません。

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  • 新井紀子のアバター

    分析・考察

    アフガン在留邦人・関係者救出では、日本は欧米だけでなく韓国にも大きく遅れを取った。2004年のイラク人質事件から何も学べていないことが残念でならない。 グローバル時代には、外務省が「渡航リスク高」に指定している地域にも、企業やNGO等は人を派遣せざるを得ない。「危険地域に行ったほうが悪い」という紋切型の批判は通用しないのだ。協力者の安全を保障できない国に、リスクを冒して協力する現地人などいないという現実を知る欧米は、今、コロナより優先順位を上げて本件について議論している。 安全保障について国会で踏み込んで議論する前に、国家としての日本は、今回の撤退の混乱から学ぶべきことが山ほどある。

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  • 峯岸博のアバター

    峯岸博日本経済新聞社 編集委員・論説委員

    別の視点

    「20年戦争」の終結は日本にとっても重い意味をもちます。米同時テロ発生の翌日に小泉純一郎政権は米国への「強い支持」を表明。テロ特措法を制定し、集団的自衛権論争があった中でインド洋での米艦などへの自衛隊による給油活動に踏みきりました。テロの翌年には東京でアフガニスタン復興支援国際会議を開催するなどアフガン再建支援に積極的にかかわり、今日まで多額の資金をアフガン支援につぎ込みました。「20年戦争」が不本意な形で終わり、テロ再燃への不安はむしろ強まっています。日本政府はテロとの戦いとともに、アフガンでの経緯を検証し、グローバル化時代の海外邦人や協力者の救出・保護のあり方を問い直す必要があります。

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アフガン情勢

アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが首都カブールを制圧し、大統領府を掌握しました。米国は2001年の米同時テロをきっかけにいったんはタリバンを打倒しましたが、テロとの戦いは振り出しに戻ります。アフガニスタン情勢を巡る最新の記事をこちらでお読みいただけます。

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